関西学院大学高校生特設サイト > 神戸三田キャンパス > 生命環境学部 > 教員からの学び【後編】

教員からの学びWhat we want students to learn

2021年4月より
生命環境学部就任予定

藤原 伸介教授

【後編】

「信用されることの大切さ」
研究者の礎

「税金で研究している立場だ・・・」退路を断って学究へ

 理系の人間は誰でも、研究者になりたいという意識を持っているものです。私も同じで、ただ、現実的には難しいなと思っていました。大学時代に中学高校の教員免許をとりました。大学院時代に中学や高校で非常勤講師をしていたので教師になることに抵抗はありませんでした。ところが「博士課程の学生は国税で研究をさせてもらっているのに、教師になるのは絶対違う」と指導教授に言われ、退路を断たれる感じで研究を続けることになりました。博士課程を修了後に民間企業で研究職をしましたが、これも「2年くらいは企業で働いて企業の開発研究を学べ」という教授の「温かい」ご指導のおかげです。結局、2年で辞めて渡米しました。このときも指導教授と会社の上司が歯の浮くような推薦状を書いてくれて助かりました。世界で初めてバイオ特許を取得した有名な教授の研究室で、博士研究員になる機会を得ました。バブル絶頂期で、就職や人生を甘く考えていたのでしょうね。現実には、英語ができなかったので、孤独でした。ただ理系のありがたいことは、実験データの図表が話してくれることです。最初の報告会は、今でも覚えています。数式と化学式と簡単な図表があれば、あとは”As shown here,”で大丈夫です。報告会のあとで、同僚研究員が手のひらを返したように親切になりました。結局使えそうな人間には近づくということでしょうね。一度信用されると、相手が英語を理解しようとしてくれるので、随分と気が楽になりました。当時は独身でしたし、本当に楽しかった。今でも昔の友達に会うと「Fujiwaraʼs Englishが懐かしい」と言われたりします。実はひどい英語なのでしょうね。理工学部で国際化推進委員をしているのですが、自分の英語力は心配です。ただ英語をうまく発音しようとは、微塵も思いません。自分が発音できる単語を選んで話せば、意思疎通はできるし、科学の世界ではそれで十分だと思っています。

01

決して褒めない恩師、「全然ダメ」の言葉に発奮

 大学院時代の恩師は、とにかく学生を褒めない人でした。口を開けば「全然ダメだ」「東大の学生ならそんなのすぐできる」。褒めて育てるなどとは程遠い。今だったら、アウトですよね。毎週1報以上の英語論文発表をしないといけないのですが、1年で約50報になります。当時読んだ論文のタイトルページのコピーは今も綴じていますが、博士課程修了までに870報の論文を読んでいました。実験ノートのチェックも厳しく、当時の恩師のコメントは今でも怖くて捨てられません。時々はお会いしますが、実はいまだに褒めてもらえません。まだまだ努力しろということなのでしょうね。努力することと、真摯に研究に取り組むことの大切さを、先生から教わりました。今はスペインやイタリア、アメリカや台湾など、様々な国の研究者と共同研究をするようになり、信用してもらうことの大切さを日々痛感しています。過去に信用を失い、消えていった人を何人もみました。一度でもいいかげんなことをすれば、信用は一気に崩れ、誰も相手にしてくれなくなります。「信用を築くのは大変だが、失うのは一瞬」。学生にもよく言い聞かせています。

02

「桑の実」知らない学生にエコファーム活用

 学内にはお気に入りの場所がふたつあります。早朝、アカデミックコモンズにパソコンを持ち込んでよく仕事をしています。雨風をしのげて、コーヒーも飲めるし、仕事がはかどるのです。教授室にいると電話ばかりかかってきますしね。ただ、授業後に学生が集まり出しても仕事を続けていると、「ここは学生のための施設ですよ」と職員に注意されてしまいます。もう一つ気に入っている場所はエコファームです。有機農法で農作物を育てる畑で、学生や教職員も利用できます。土いじりは大好きです。生物の発生で「桑実胚」を習っても、今の時代に桑の実なんて見ることはありません。ソージツから桑の実にはたどり着きませんよね。マメ科植物には根粒があると習っていても、根粒を見たことのない学生もいます。芋は地下茎を形成し地面の中にできることすら知らない学生もいます。できるだけ実物を見せたいという思いがあって、学生を誘って、色々な種類の植物を育てています。もちろんマメ科植物も栽培しています。もっとも学生は、収穫して食べるときしか来てくれませんけどね。

03

キャンパスに天然カブトムシ、羽ばたきに感動

 自宅から大学まで、朝はいつも1時間ほどかけて、散歩しながら通っています。大学周辺は景観地区なので本当に美しい。近隣の高校や商業施設もデザイン統一がなされていて、眺めていて飽きません。キャンパスは自然が豊かで、夏はカブトムシも見かけます。明かりの下へ飛んでくる天然のカブトムシの力強さは感動的です。昔、研究室で、カブトムシを飼育していたことがあり、一時は64匹にもなりました。研究は何でも楽しいですよ。働き方改革で、仕事以外のこともしないといけないような風潮がありますが、正直困っています。一日18時間ぐらいは仕事をしていますが、全く苦痛ではありません。土曜日、日曜日は特に集中できます。家でもパソコンを広げて何か打っていますが、家族から苦情が出ることもありません。この暮らしは研究室に入ってから今まで変わっていない気がします。恐らく多くの理系の先生方は、私と似たり寄ったりだと思います。年をとるほど、今の間にやれることをやっておきたいという気持ちが強まるのです。学生たちにはまだぴんと来ないでしょうけど、折を見ては「人生は1回だ。後悔しないように、やりたいことをやれ」と言っています。もたもたしていて後悔するよりも、失敗しても良いので挑戦してみることが、人生を楽しむコツだと思います。

04

生命環境学部紹介に戻る

【前編】へ

資料請求はコチラ

で入試情報をお届け!今すぐ友達登録!