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研究ピックアップ

KSCではどんな研究が進められているのか?
関学が誇る最先端の研究の一部を紹介します。

総合政策学部 メディア情報学科

よりよい社会をつくる意思決定の力とは。

井垣 伸子 教授

※この記事は2020年3月に神戸新聞に掲載されたものです。

人間は生まれながらにして、自ら意思決定したいという本能を持っています。

例えば、眼鏡店チェーン「メガネスーパー」は一時期、経営が傾きました。そこに乗り込んだ新社長がV字回復を達成できたのは、現場の社員にメガネフレームの仕入れを任せることで社員のやる気を引き出せたからでしょう。

一方、選択肢があまりにも多いと、今度は意思決定がつらくなるというのも人間の真理です。米コロンビア大学のアイエンガー教授が行った有名な実験では、6種類のジャムを店頭で売った場合と24種類に増やした場合を比較すると、後者の売り上げが前者の10分の1に減ってしまいました。

組織レベルの意思決定となると、一番いい案はどれかを皆で相談することになります。ここで問題になるのは、何をもって一番いいとするか。言い換えれば、目的は何かということです。

目的が決まってしまえば、手持ちのヒト・モノ・カネの制限内で、その目的を最適化(利益の最大化やコストの最小化)する数学的手法はいろいろあります。「データを駆使して将来を予測し、最適な意思決定をする」という問題解決の枠組みが、これまではよく機能していました。

しかし時代は変わりました。状況の変化が激しく、将来を予測することは困難です。

そもそも経済効率性だけを目指していいのでしょうか。持続可能性を追求したり、幸せを目指したり、生きる意味を求めたり、もっと多様な目的が必要ではないかと問われ始めています。「個人の選択と社会の選択のつじつまを合わせる動き」と言い換えることができるかもしれません。

2005年にバンクーバーからスタートした「オーシャン・ワイズ」というすてきな取り組みは、今やカナダ全土に広がっています。これは、自然に優しい魚の取り方や養殖方法で作られたシーフードを選ぼうという活動です。オーシャン・ワイズのロゴがあるレストランでシーフードを食べるという個人の選択が、持続可能な海資源へとつながるのです。

私が今考えているのは、個人の意思決定をどのように次の世代につなぎ、よりよい社会を築いていくかということです。この研究のために、4月から大学内に「ジェネラティビティ研究センター」を立ち上げる予定です。

ジェネラティビティというのは、アメリカの精神分析学者エリクソンによる造語で、ジェネレイト(生み出す)とジェネレーション(世代)を掛け合わせたものです。ローカルからグローバルまでの広い視野で、ジェネラティビティの研究をしていこうと思っています。

井垣 伸子 教授
IGAKI Nobuko
井垣 伸子 教授
科学的な意思決定のための確率過程を用いた数学モデルの解析とその応用を研究。

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