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開発途上国を知る 2019.10.01

文学部4年生稲吉康汰さん

国際社会貢献活動 :開発途上国でボランティア活動を行う関学独自のプログラムで、国際機関である赤十字国際委員会(ICRC)、海外の教育機関、NGOなど、さまざまな派遣先があります。 国際教育・協力センター(CIEC) 提供プログラム。

リアルな視点を与えてくれたネパールの日々

自分に合った留学先探し 途上国でボランティア活動を決意

タイの学生との交流やベトナムとカンボジアへの修学旅行など、さまざまな国際経験を高校の時にする中で、自然と「留学に行きたい」と思うようになりました。教員免許を取るための授業を受けていた関係で、半年間以内の留学にしぼって留学先を探していましたが、王道ともいえるヨーロッパやアメリカは「現地で何をするのか」という点で私にはしっくりきませんでした。 そんな感じで自分に合った留学プログラムを探していた1年生の夏ごろ、開発途上国でボランティア活動を行う国際ボランティアを見つけました。発展途上国で興味ある教育関連の活動ができて、しかも期間は半年間。「うわ!これや!」と思いました。 その後、留学に詳しい国際教育・協力センターの山田好一教授の部屋(通称、山田部屋)に行って、山田先生に留学について相談して、先生が薦めてくださった授業をとっていきました。最初は、こんな自分が国際ボランティアに行けるのだろうかと不安でしたが、授業を受けていくうちにどんどん本気になっていきました。山田先生に「行きます!」と宣言して、2年生秋学期のプログラムに思い切って申し込みました。

ネパールで防災意識の定着に注力

私が派遣されたのはネパールにある教育機関で、そこでは5歳くらいの幼児から高校1年生くらいまでの生徒たちが学んでいました。業務は主に、日本語教育、日本文化の紹介、防災教育、衛生教育の4つ。派遣されたのは2017年の秋で、ネパールでは2015年に大地震が起きています。しかし私の周りにいた人の多くは地震を「神の仕業」として捉え「もう起きない」と思い込んでいました。この状況をあまり良くないと思った私は、子どもたちに地震が起きる仕組みを教え、一緒に次に地震が来た時にどうするべきかを考えました。学校はレンガでできた地震に弱い建物だったので「机の下に入るより、すぐに外に出た方がいいね」とか、村を一緒に回りながら「地震が起きたら、この広いバスパークに逃げよう」などと確認しました。また私の出身の福岡県がネパール語の防災ガイドを作っていたので、県庁にお願いをしてデータをもらい、現地の子どもたちに見せてあげることができました。

食前の手洗い定着化で命を救う

衛生教育にも力を入れました。ネパールでは感染症が死因の第一位で、その多くは手洗いで防ぐことができるのですが、ネパールには食前に手を洗う習慣が根付いていません。私は、日本のせっけんメーカーの手洗いに関する「うた」を使って、手洗いを習慣化させようと考えました。ネパールに行く前にそのメーカーに出向き、このうたを現地で使わせてほしいとお願いし許可をいただきました。また学校の教育だけでは間に合わないと思い、食前の手洗いの重要性を広めるために各家庭へ訪問もしました。新たな習慣を定着させることは難しく、私が帰国したあとにどの程度手洗いが広まり、習慣化したかは正直分かりません。しかし、プログラムを終えて1年後くらいにネパール旅行に行ったのですが、私が派遣されていた学校の先生がこのうたを覚えていてくれていたのは嬉しかったです。食前に手を洗う習慣が少しでも広まってほしいと願います。

ネパールの日々はリアルな視点をくれた

留学に行って「楽しかった」「英語がうまくなった」ではなく、現地の人と面と向かって話し合い、本気で伝えようとしたからこそ得られたものがたくさんありました。現地の状況を理解できたのも現地の人と信頼関係を築けたのも、本気で取り組んだからこそだと思います。 このプログラムに行く前、私は「世界」と言われればアメリカやヨーロッパの国をイメージしていました。しかし今は、ネパールを含むアジアが真っ先に浮かびます。現在、世界の国の約8割が途上国であると言われていて、日本にも困っている人がたくさんいます。ネパールに行く前は、世界のこうした側面は全く見えていませんでした。そういう意味では、自分の視点が少しだけ世界のリアルに近づいてきたのかなと感じます。 卒業後は民間企業への就職が決まっていますが、将来的には社会を変えるために行動したい、行動するべきだという思いがあります。その思いを実現するためにも起業にも興味を持っています。自分の目標に向かって様々なことに本気で取り組み、影響力のある人間になりたいと思います。