RENEWAL 

データ分析を通じて、現実社会における課題解決力を修得

現実の社会で起きていることから経済学への関心を呼び起こし、より深く経済学を理解する教育を推進。データ分析を通じて現実社会における課題に取り組み、その問題が起きている理由や背景は何かを整理し、論理的に考え答えを導きます。そうした課題解決力を育むために3年生から少人数制のゼミを開講。興味に合わせて研究テーマを追究できます。また、ディベートや他大学のゼミとの交流を活発に行い、知的好奇心を刺激しながら経済学の知識と社会に出てから役立つ実践力を積み上げます。

●基本DATA
学生数 2,943名  募集人員 680名  専任教員数 57名
●取得可能な資格
・中学校教諭一種免許状 社会/英語 ・高等学校教諭一種免許状 地理歴史/公民/英語 ・学校図書館司書教諭 ・国際バカロレア教員認定証(DP)

学生インタビュー



岡本直也さん
経済学部3年
兵庫・北摂三田高校出身

■学部の学び
データ分析の手法を修得し経済事象を実証的に読み解く

統計的手法を用いて経済データの分析を行い、経済現象のメカニズムを解明する「不均衡計量分析・計量経済学」を学んでいます。世界の景気循環や日本の経済動向の予測からビジネス課題や社会問題の検証まで、応用範囲が広いことに魅力を感じて、この学問分野を選択しました。ゼミの授業では、ある生産物の生産量・出荷量・在庫量の推移を示すグラフを分析してそれらの動きの関連性を調べ、関連しない動きがあった場合はその背景にある要因を推考するといったさまざまな課題に取り組んでいます。データ分析の手法と、その動きをモデル化して考察するための経済理論を修得し、世の中の経済現象を実証的に解析できるようになるのが目標です。

■もう一つの学び
人生の選択肢を増やすために英語の教員資格取得をめざす

他学部履修制度を利用して、中・高校の英語教員免許の単位を取得しました。卒業後は一般企業に就職するつもりですが、教員資格により将来の選択肢を増やすことができますし、ビジネスの現場でも人を育てるということに生かせるのではないかと思っています。また、教職課程の英語コミュニケーション科目で身につけた話す力や英米文学の授業を通して学んだ異文化理解や価値観の多様性などは、これからの時代、あらゆる場面で役立つと考えています。

学部の特色

 社会で求められているデータ分析能力を課題解決型データ分析プログラムにより修得

■3段階の学びでデータ分析力と課題解決力を育み実社会で応用できる人材へ
「課題解決型データ分析プログラム」とは、2023年度始動の新設プログラムです。国際、金融、財政、福祉、労働、産業、資源、環境、地域といった応用分野における課題に対して、データ分析を用いて取り組めるよう段階的に学びます。まず、「入門レベル」では情報処理、AI活用などの既存科目で基礎を固めデータ分析力を育み、次に「応用レベル」では少人数制でディスカッションやグループワークを行う「PBL(Project-Based Learning)データ分析」演習科目を通して、解決策を探る能力を獲得。さらに「発展レベル」ではデータ分析を行うソフトウェア「R」を用いた統計解析を修得し、さまざまな課題に対して提言できる能力を育みます。

■社会で求められているデータ分析能力
ビッグデータを入手・分析できる環境が整ってきた現在、顧客の購買履歴や商品検索時のデータを解析し、次のマーケティング戦略に活用するなど、多くの企業でデータ分析をもとにした戦略策定が重視されています。また、国や自治体では、データ分析を通した客観的な証拠をもとにして、政策を創り出すEBPM(Evidence-Based Policy Making)が注視され、データ活用による政策立案能力や、政策提言能力が求められています。

 独自の海外派遣プログラムを通して海外の大学との共同研究やフィールドワークを体験する

経済学部では、独自の海外派遣プログラムを数多く用意して、学生のさまざまなスキルの向上や就業体験、研究活動など、渡航目的にあわせたバックアップをしています。現地のスポーツクラブの運営に携わるドイツのインターンシップ。アフリカに出向き、社会経済調査を行い論文を執筆する海外学習。主に観光業関連の職場にてインターンシップを実施するインドネシア・バリ島での研修。中国の吉林大学の学生と共同で研究活動を行う海外学習活動。さらに、中国の深圳やラオスにある工業団地を見学し、海外での大学生活、社会経済活動の実態を学ぶプログラムなどがあります。

 学生が主体となり地域活動や企業の活性化に取り組む国内フィールドワークの充実

経済学部では、学生が現場へ足を運び課題解決に取り組むフィールドワーク演習が盛んです。「公共政策」「過疎地域の地域創生」がテーマのフィールドワーク演習では、地域おこしやコミュニティづくりに取り組み、活動の成果を地域に還元しています。「共生社会の構築」の演習では、障がい者施設での介護実習や、特別支援学校への施設見学とインタビュー調査などを体験。「中小企業の活性化」をテーマとした演習は、マーケティングリサーチによって課題解決を行う実践型授業となっています。

 2年生での「プレ演習」でアカデミックスキルを磨き自身の興味とゼミをマッチング

少人数のゼミナールを人間形成の場として重視する経済学部では、さまざまな活動の中で、絆を深めながら議論を積み重ね、論理的思考力や実践力を高めることができます。その一環として3年生からの本格的なゼミ(専門演習)に向けて、2年生から参加できる「プレ演習」を開講しています。「プレ演習」の学びを通じて、専門書、論文などの講読やリポートのまとめ方などのスキル向上はもちろん、自身が深めたいと思う専門分野を模索したり、ゼミでの研究内容との一致を確認したりすることができます。

 グローバル社会での活躍をめざし必修の英語に加え+1言語を修得多文化を理解する

英語の学修のほかに、フランス語・ドイツ語・中国語・朝鮮語・スペイン語の中からプラス1言語を履修します。必修の英語の授業ではネイティブスピーカーの教員が指導する授業と、日本人教員が指導する授業の両方を履修できるようカリキュラムを編成しています。「聞く・話す・読む・書く」の包括的アプローチにより4技能をバランスよく伸ばし、言語で自己の考えを整理し表現できる力を養います。また「Topics in Economics(in English)」をはじめとした経済学を英語で学ぶ授業も開講しています。

ゼミ紹介


▶紹介するのは… 加藤 雅俊ゼミ



加藤 雅俊 教授
一橋大学大学院商学研究科博士後期課程修了
。 博士(商学)。
関西学院大学アントレプレナーシップ研究センター長。
2010年関西学院大学に赴任。

アントレプレナーシップやイノベーションを経済学の視点から分析する

私の研究対象はアントレプレナーシップ(起業活動)とイノベーションです。具体的には、どのような属性を持った起業家がビジネスの競争の中で生き残り成長するのかなどに加え、スタートアップ企業がどのようなイノベーションを起こすのか、どのような地域でイノベーションが起きるのかといったテーマで研究しています。
このような研究内容から、私のゼミには起業家やビジネスコンサルタント志望の学生が集まります。3年生の春学期ではテキストを用いて毎回グループワークで基礎を学修し、秋学期は新たにグループを編成し、グループごとに研究テーマに従って調査・分析を行います。過去には「創業後の資金調達の成功要因」「企業の株主構成が研究開発に与える影響」などのテーマがありました。日本ではアントレプレナーシップやイノベーション研究は主に経営学のテーマとされ、当ゼミのように経済学の立場を取る存在は少数です。経営学が経営者の視点からアプローチをするのに対し、経済学では全体を俯瞰するように客観的な視野で捉えます。アマゾンなどの成長企業は経済学者を数多く雇用し、経済学の理論やデータ分析を経営戦略において活用しています。皆さんには経済学がビジネスに有効であることをもっと知って欲しいですね。


▶このゼミの卒業生



富士フイルム ビジネス イノベーションジャパン
(旧社名:富士ゼロックス)
システムエンジニアリング統括部
業務ソリューション第一技術部
(2022年12月取材時のものです)
陰山明日香
2016年度 経済学部卒業

ゼミで鍛えた「意図や状況を聞き出す力」を生かしお客さまに最適な解決策を提示

 「企業やそこで働く人の行動原理」に興味を持ち、産業組織論や企業経済学を学ぶ加藤ゼミを選択。ゼミではグループ・個人で学んだことを発表し、それについて全員で議論をしますが、加藤先生から「発表を聞くだけでは『分かった』つもりになるだけ。質問をしないと内容を理解することはできない。質問を通して理解を深めるようにしてください。」と指導されました。また、他大学とのディベート大会や研究報告会など、垣根を越えた学びの機会をつくっていただいたことも印象に残っています。
私は東京都内の公共系のお客さまを対象にITを活用し業務効率化を支援する仕事をしています。お客さまからシステムの仕様についての要望を受けた際には、より業務内容に即した実現方法がある可能性を踏まえ「最終的にどのようなことを実現したいのか」など、お客さまがめざすゴールや抱えている課題を聞き出し、目の前だけの問題解決にならないように意識しています。ひとえに「質問を通して内容を深堀りし、本来の課題を見つける力」を鍛えていただいたおかげだと感謝しています。