理学部

理学部

 2021年4月 NEW 


●数理科学科
数学的手法を用いて世の中の現象を読み解く

数学は科学の世界の共通言語であり、さまざまな分野を基礎から支える強力な学問です。数理科学科では、数学的な方法を用いて、自然科学や社会科学などの領域にアプローチし、世の中のさまざまな現象を解明します。また、多彩な分野で研究実績をあげた専門家の指導のもと、奥深い数理科学の世界を探究します。論理的思考のツールとしてコンピュータを使いこなす力も育成。数理的な思考・問題解決能力を身につけ、現代社会の問題に適用し解決できる人材を養成します。


●物理・宇宙学科
あらゆる現象を探究し、物理現象・宇宙の謎に迫る

現代物理学の研究対象はミクロからマクロまで極めて幅広く多岐にわたっています。ミクロな物理の代表は素粒子や原子核、原子・分子が織りなす物理現象であり、マクロな物理の代表としては宇宙物理学があげられます。物理・宇宙学科は、私大では希少な理論物理学・実験物理学・宇宙観測について専門的に深く教育・研究ができる学科です。宇宙物理学の分野では理論研究に加えて電波天文学、赤外線天文学、X線天文学の宇宙物理の主要3分野の研究室が揃っています。


●化学科
基本原理を探究し、化学の発展に貢献する

化学は医薬・化粧品、繊維、自動車、プラスチック、エレクトロニクスなど、多様な産業と結びついています。化学科ではこれらの産業で変革をもたらす研究の推進と人材育成を 行っています。物質の構造・機能とその原理を解明する「分析・物理化学系」と、化学反応を駆使して機能性物質を創りだす「無機・有機化学系」の2分野において理学的研究を進めています。授業で得た知識を体得するために、ラボでの実験を重視し、世界に通用する実践的な研究力を育みます。


●基本DATA
学生数 542名  募集人員 180名  専任教員数 44名
●取得可能な資格
[学科共通]・学校図書館司書教諭 ・国際バカロレア教員認定証(DP) 
[数理科学科/物理・宇宙学科]・中学校教諭一種免許状 数学 ・高等学校教諭一種免許状 数学 
[物理・宇宙学科/化学科]・中学校教諭一種免許状 理科 ・高等学校教諭一種免許状 理科 

学生インタビュー



武部好珠さん
数理科学科1年
岡山・倉敷青陵高校出身

■学部の学び
インターナショナルスクールの数学教員になりたい

数学教師である父の影響で数学が好きだったことや、子どもたちと向き合うところに魅力を感じたことから数学の教師になりたいと思っていました。その一方で、小さい頃から英語を学んでいたにもかかわらず英語がうまく話せないことから、これからの子どもたちには英語をしっかり話せるようになってもらいたいと考え、「インターナショナルスクールで数学を教える」ことが目標になりました。そこで、数学を究めるとともに英語も学べ、さらに国際バカロレア教員認定証が取得できる関西学院大学理学部数理科学科に入学しました。

■もう一つの学び
関西学院大学には自分の可能性を広げる学びがある

1年生の間は数学を学ぶ上で基礎になる線形代数学、微分積分学に加え、海外理工学プログラムやAI活用入門、キャリアセンター開講の授業、英語の授業などを履修。中でも海外理工学プログラムでは台湾師範大学の学生たちとオンラインで「水と環境」について英語で議論することができ、英語力アップをめざす私にとって得るものが多くありました。また、私は将来的に幼稚園から高校までそろったインターナショナルスクールをつくりたいと考えており、起業に関する授業も受講しています。このように関西学院大学には興味があることに挑戦できる環境が整っています。自分の可能性を広げたい人は、ぜひ本学で学んで欲しいと思います。

主な研究紹介

 ミツバチの営巣

 さまざまな現象のメカニズムを数理モデルで解析

私たちの身の回りでは、ミツバチの巣や雪の結晶など一定の規則性を示す形状(空間パターン)や、左右に動く台に複数のメトロノームを乗せ振り子をバラバラに動かすと、最終的にすべての振り子のリズムが揃うといった規則性を示す現象(時間パターン)が観察できます。こうした自然界に現れるさまざまなパターンの発生の仕組みを「数理モデル」という数式を用いて研究します。自然現象の数理モデル化は、病気の原因解明や人工知能の発展など、あらゆる分野へ応用することができます。

 現象数理解析研究室 大﨑浩一 教授


 星の誕生

 電波望遠鏡を用いた観測研究で分子雲の形成・進化の過程を解明

分子雲および銀河の形成と進化の解明をめざし、電波望遠鏡を用いた観測研究を行っています。分子雲とは、星と星の間にある低温で高密度のガスの雲のことで、この分子雲の一部が収縮して星が生まれます。銀河は星と星間物質が集まった天体です。分子雲がどのようにして作られ、さらに星の誕生後、この分子雲がどのように変化していくのかを観測し、銀河の形成・進化の過程を解き明かします。並行して、南極大陸内陸部の高原地帯に天文台を開設する南極天文学を推進しています。

 電波天文学研究室 瀬田益道 教授


 超高速レーザー

 レーザーでミクロな世界を観察

一般に、光の波長より小さな物質は光学顕微鏡では観察できず、X線や電子線など高エネルギーの電磁波を物質に照射して観察するため、生きたまま見ることは困難です。一方で、物質にレーザー光を当てると物質固有の応答を示したり、物質の大きさに応じて光強度が変わったりします。私たちはそれらの性質を利用し、生細胞や分子を傷つけずに構造やふるまいを調べるシステムの開発を行っています。この技術が完成すれば疾患のメカニズム解明、創薬、新素材開発など幅広い分野での利用が期待できます。

 レーザー物理化学研究室 大間知潤子 准教授

研究室紹介


▶紹介するのは…理学部 化学科 村上 慧研究室



村上 慧 准教授
京都大学工学部工業化学科卒業。
同大学大学院工学研究科材料化学専攻後期課程修了。
博士(工学)。
カリフォルニア工科大学に留学後、
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所などを経て、
2020年から現職。

誰もつくったことがない分子をつくり、世界の課題解決に貢献したい

私の研究テーマは新たな化学反応によって、これまでになかった新しい分子をつくりだすこと。特に生物に作用することが期待できる物質の創出をめざしています。新しい分子をつくるには、ノーベル賞を受賞したクロスカップリング反応など、既存の方法を改良する時もあれば、これまでにはなかった方法を考案することもあります。現在、他大学の生物系研究室と共同で植物の栽培に影響を与える分子の開発が進行中。これは農作物の収穫増加につながり、食糧問題の解決につながると考えられています。このほか医薬品や各種素材、電池などへの使用が期待できる分子の創出も研究の対象にしています。
私のゼミでは、私の研究テーマの中から本人の意向を聞きつつそれぞれの研究テーマを決定します。将来、企業の研究開発職をめざす学生が多く、ほとんどが大学院に進学するため、学部4年生から修士2年生までの間に、一度は学会で自らの研究を発表するように指導しています。新しい分子の創出という未知の可能性を切り開く研究は、これからの社会や私たちの生活に貢献するものであると確信しています。


▶このゼミの卒業生



日東電工株式会社
研究開発本部基盤技術研究センター
井上陽子 博士(理学)
2015年度 理工学部 化学科※卒業
2020年度 理工学研究科 博士課程後期課程修了
※2021年4月より理系4学部開設。
この学部学科名はそれ以前のものです。

大学・大学院で身につけた研究手法で「人のためになる」新材料を開発したい

私は好きな化学の実験を通して人のためになるものを作りたいと思い、理工学部に入学しました。田中大輔先生の研究室に所属し、大学・大学院を通して多孔性配位高分子と呼ばれる錯体の結晶生成過程について研究しました。
この錯体には小さな穴があることから、地球温暖化に影響する二酸化炭素を回収したり、次世代エネルギーとして期待されている水素を安定に貯蔵できるなど、環境・エネルギー問題の解決に寄与する材料になると考えられています。
田中先生の指導のもと、自分の関心のあるテーマについて自由に研究を進めることができました。また国内・国外の関連学会で発表する機会も頂きました。現在は材料メーカーで省エネ化の役に立つ炭素系素材の基礎研究を行っています。大学・大学院で研究した錯体とは物質が異なりますが、研究の進め方、特に先行研究論文や実験で得たデータから疑問点を見出し、応用していくという研究手法は共通しています。これからも自らの知識を深め、社会のためになる新材料をつくりだすことが、私の使命であると思っています。