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「子ども理解」を基盤にした学びで、教育者・保育者を養成
現代のような価値観が多様化し、不確実性の著しい時代に求められるのは、「保育・教育とは何か」「学校になぜ行かねばならないのか」、そもそも「人は何のために生きるのか」といった問いに真摯に向き合い、混迷を深める現代社会に主体的に応答できる人間です。本学部では「人を育てる人」を育てるために、「子ども理解」をすべての軸として、「国際共生」を学びの基礎として捉え、教員として必要な知識や技術を身につける場にとどまらず、人としての強靭でしなやかな応答力を培う教育をめざします。
●基本DATA
学生数 1,472名 募集人員 350名 専任教員数 41名
●取得可能な資格
・幼稚園教諭一種免許状 ・保育士資格 ・特別支援学校教諭一種免許状 ・小学校教諭一種免許状 ・中学校教諭一種免許状 社会/英語 ・高等学校教諭一種免許状 地理歴史/公民/英語 ・学校図書館司書教諭 ・国際バカロレア教員認定証(DP)
笹野 愛織さん
教育学科 初等教育コース4年
福井・高志高校出身
■学部の学び
「子ども理解」への気づきを基に「理想のほめ方、しかり方」を研究
私自身が小学校から中学校に上がる時、授業の形式をはじめ学校生活の変化などに対応できず苦労したため、小学校から高校までスムーズに学習を続けていくには何が大切かを学ぼうと教育学部を志望しました。「幼児・児童教育相談論」「教育相談基礎論」などの授業で、問題行動を起こす児童・生徒には、見た目には現れない何らかの理由があること、その隠された心の叫びに耳を傾けることが子ども理解の第一歩であると気づきました。この学びを生かし、「理想のほめ方、しかり方」を テーマにした研究に取り組んでいます。小学校教員へのインタビュー調査などを行い「自己肯定感」「学校の成績」「学校生活への適応」という視点から論文をまとめています。
■もう一つの学び
小学校から中学・高校までつながりを意識した教育を
私は小学校教諭の免許に加え、中学校・高校の教員免許を取得するために文学部の国語の教職課程を履修しました。国語は日常的に使う日本語を学ぶため簡単そうに思えますが、文章に隠された筆者の思いや考え、生き方、価値観を読み取る力を身につけるという高度な科目であると再認識しました。私は地元の福井県で小学校教諭になることが決まっています。学んできたことを生かし、小学校から中学校、高校までのつながりを意識した授業づくり、生徒指導・支援をしていきたいと考えています。
幼児教育学、初等教育学、教育科学の3つのコースを設置。コースが連携し、質の高い教育者を養成
子どもの成長・発達を支えるためには、幼児期の発達を十分に理解した上で、児童期、思春期へと理解を積み上げていくことが必要です。教育学部では、「子ども理解」を基本理念とし、「幼児教育学」「初等教育学」「教育科学」の3つのコースが連携し、教育に関する理論の十分な学習と、きめ細かいサポート体制による教育現場での実習をバランスよく繰り返すことで、「実践力」「教育力」「人間力」の3つの力を備えた質の高い教育者を養成します。
子どもの人格形成の土台を築く重要な時期を担う保育者には、「子どもをどう理解するか」「可能性をどう伸ばすか」という力が求められます。幼児教育学コースでは、実習を重視。現場で求められる、子どもの目線に立って子どもの成長を見守る力と、豊かな人間性を育みます。
■取得可能免許・資格
幼稚園教諭一種
保育士資格
特別支援学校教諭一種※
学校図書館司書教諭
国際バカロレア教員認定証(DP)
■卒業後の進路イメージ
幼稚園教諭、保育士、特別支援学校教諭。幼稚園・保育所および保育所以外の児童福祉施設、社会福祉施設など、幅広い分野で活躍するチャンスが広がっています。
幼児教育学コース、教育科学コースとの連携により、子どもの発達過程の全体を学び、小学校・中学校教諭の免許が取得できるカリキュラムを編成。また英語教育や国際共生のカリキュラムを充実させ国際的な視野と教養をもって教育現場で活躍できる教育者の育成をめざします。
■取得可能免許・資格
小学校教諭一種
中学校教諭一種(社会)(英語)
特別支援学校教諭一種※
学校図書館司書教諭
国際バカロレア教員認定証(DP)
■卒業後の進路イメージ
小学校教諭、中学校教諭、特別支援学校教諭。小学校や教育関連企業などで、教育者、または、教育の専門スキルを持った人材として活躍できます。
いじめ、学力格差、子どもの貧困など多様な問題を抱えている教育現場。本コースでは、これらの課題を追究し解決をめざして学校・家庭・社会など広い視野から捉え考察します。卒業後は小学校・中学校・高等学校教諭のほか、教育研究機関や一般企業などでの活躍が期待されます。
■取得可能免許・資格
小学校教諭一種
中学校教諭一種(社会)(英語)
高等学校教諭一種(地理歴史)(公民)(英語)
特別支援学校教諭一種※
学校図書館司書教諭
国際バカロレア教員認定証(DP)
■卒業後の進路イメージ
小学校教諭、中学校教諭、高等学校教諭、特別支援学校教諭、民間企業、公務員、教育に関する機関、団体において、教育学を学んだ者として活躍が期待されています。
※特別支援学校教諭一種免許の領域は、知的障害者、肢体不自由者、病弱者です。特別支援学校教諭一種免許の取得にあたっては、基礎となる免許の取得が必要になるなど、さまざまな要件があります。また、2年生秋学期に、4年生で特別支援教育実習を履修するための申込があり、希望者多数の場合は選抜を行います。
中・高一種免許状(英語)などさまざまな免許・資格の取得が可能。子どもの成長に寄り添える教育者・保護者に
本学部の3コース(幼児教育学コース・初等教育学コース・教育科学コース)では、コース間の連携により、乳幼児期~青年期という子どもの発達過程の全体を学ぶことができます。幼児教育学コースでは幼稚園教諭一種免許状と保育士資格、初等教育学コースおよび教育科学コースでは、小学校教諭一種免許状と中学校教諭一種免許状(英語または社会)などの取得が可能です。また、3コース全てにおいて、一定の条件をもとに特別支援学校教諭一種免許状(知的障害者・肢体不自由者・病弱者)の取得も可能です。一人ひとりの子どもの成長に寄り添うことのできる教育者・保育者を育成します。
国際共生を学びの基礎に据え「世界市民」としての視野と英語の諸技能を身につけ社会で活躍する
いま、教育現場では英語指導の専門性を有する教員が求められています。本学部では「国際共生科目」を学部カリキュラムの中核に据え、国際的な視野と教養をもって教育現場で活躍できる「世界市民」としての教育者・保育者を育成します。また、本学部独自の海外派遣プログラムを設けており、現地の教育に関するフィールドでさまざまな教育の在り方を学ぶことができます。語学力の向上のみならず、多様性を尊重する姿勢を育み、国際的な幅広い視野や洞察力をもって教育を考えられる教育者・保育者となる機会を提供しています。
学部独自の地域における教育実践など実習やフィールドワークを数多く設置し実践力を育む
本学部では、学んだ知識を実践の場で生かすための実習科目やフィールドワークを豊富に設けています。教育課題を抱える現場で学び、課題解決を探り、教育者としての資質・能力を高めることをねらいとする教育課題探究実習として、「隠岐地域における課題探究と教育実践」や「地域における多文化共生教育実践」を実施。また、仲間とともにプロジェクト活動に取り組む「リプラプロジェクト」などの探究プログラムも充実。こうした学びを通して学生一人ひとりの探究力を高め、子どもの探究的な学びを支援できる力を育みます。
全国屈指の教員・保育士就職決定率99.4%。企業・公務員への就職率100%。独自のキャリアサポートがバックアップ
西宮聖和キャンパスでは、教育学部生限定のキャリアセンターを開設。教員・保育士をめざす教育学部生一人ひとりに向き合い手厚く支援を行うことで、毎年、教員・保育士就職において、全国屈指の正規合格率を誇っています。また、教員・保育士をめざす教育学部生のための支援プログラムとして「就職支援プログラム 未来塾」を開講。大学生活4年間を通して職業観を醸成し、一人ひとりのめざす進路に適した支援を行います。
▶紹介するのは… 藤井 恭子ゼミ
藤井恭子 教授
2002年筑波大学大学院心理学研究科博士課程修了。
博士(心理学)。
専門は青年心理学/生涯発達心理学、学校心理学。臨床心理士。
愛知教育大学准教授を経て、
2013年関西学院大学教育学部に着任し、
現在教授。
科学としての心理学を通してエビデンスに基づく判断力を養う
私は現代青年の友人関係における「ヤマアラシ・ジレンマ」について研究しています。ヤマアラシの一群が寒さを防ぐため寄り添うが、お互いの棘が痛くて離れてしまう、というショーペンハウアーの寓話に由来する言葉で、“近づきたいけれども離れたい”という人間関係における適度な距離をめぐって生じるジレンマを表します。しかし現代青年は、その適度さを相手との実際の葛藤の中で模索するのではなく、自己内に設定した適度な距離との間で近づきすぎない、離れすぎないというように、より複雑な自己内で生じるジレンマを抱えて いることを実証しました。外側から大人が見る青年像と、青年自身の内面とのギャップを研究によって埋めることは、青年理解につながります。今では高校の教科書にも載るほど一般に知られるようになりました。
ゼミの学生は自身の興味関心や生きる礎になるようにテーマを定め、観察・面接・調査などの心理学の方法論で研究を行います。心理学は科学ですから、しっかりしたエビデンス(根拠、証拠)が欠かせません。研究を通して自分の経験や考えだけで判断するのではなく、それを疑い、仲間と大いに対話を重ねながら、エビデンスに基づいて論理的に考える力を養って欲しいと考えています。
▶このゼミの卒業生
尼崎市立名和小学校
教諭(研究主任)
花岡祐介
2014年度 教育学部 教育学科卒業
頑張る子どもたちの後押しができる小学校教員をめざして
小学校の教員をめざしていた私は、「どんなことを学ぶかは分からないが心理学は面白そう。将来教員として児童たちと接する際に役に立つはず」と思い、藤井恭子先生のゼミを選びました。ゼミではどういう手順でデータを集め、分析し、考察するのかを徹底的に学びました。卒業論文は「若い時に失恋をした人は心の痛みが分かり、次によい恋愛ができるのではないか」と考え、大学生約300名にアンケートを取り、分析をしました。卒業論文執筆の際には藤井先生の研究室へ訪問するたびに長時間、親身になって私の相談に乗ってくださいました。
卒業後は尼崎市の小学校教諭として2年生を除くすべての学年の担任を経験、現在は6年生を担当しています。高学年では藤井先生が研究されていた「ヤマアラシ・ジレンマ」の状態になっている児童もいます。児童の様子と周囲の反応を観察しつつ、話を聞き、本人の心を軽くすることができればと考えています。これからも子どもたちが一生懸命頑張る姿を後押しできる教員をめざし、自分を磨いていきたいと思います。