多角的アプローチで変化し続ける現代社会を読み解く

これまで「100年に一度の変化」と言われてきたものが、10年に一度は起きるようになった現代。人と人、企業、地域、国家などの集団と人の関係性に注目し、メディア、心理、 文化などの観点からアプローチするのが社会学部です。現代社会の本質に迫る社会学的想像力を養い、自分の関心を専門的に掘り下げるカリキュラムを編成しています。自ら課題を発見し解決できる専門知識と、実践的な調査・分析能力を身につけ、社会を生き抜く力、つくる力、支える力を育みます。

●基本DATA
学生数 2,689名  募集人員 650名  専任教員数 52名
●取得可能な資格
・中学校教諭一種免許状 社会 ・高等学校教諭一種免許状 地理歴史/公民 ・社会調査士 ・認定心理士(心理調査) ・学校図書館司書教諭 ・博物館学芸員 ・国際バカロレア教員認定証(DP)

学生インタビュー



清水 大志さん
社会学科4年
広島・基町高校出身

■学部の学び
「なぜ人は合理的に行動できないのか」社会心理学で解明

“期間限定”の宣伝文句に釣られて、不必要なものを買ってしまった経験はありませんか。心理学的な視点から人の意思決定・判断過程のメカニズムを探る「意思決定の心理学」を学び、なぜ人はこうした不合理で非論理的な行動をするのかが分かり、心理学がより面白くなりました。ゼミでは、これらの気になる事象について数値データを使って分析・研究しています。3年生の時は商品パッケージの色・オノマトペ表現の有無による購買意欲の変化を考察し、現在は「フィラー表現(「えーと」や「あー」などのつなぎ表現)が相手に与える印象・影響」をテーマにした卒論をまとめるべく、学生を対象とした実証実験を進めています。

■もう一つの学び
「霞が関セミナー」で学んだ仕事の実態を知る重要性

就職準備の一環として、1年生で「霞が関セミナー」※1東京合宿に参加しました。国家公務員として仕事をしている先輩方(卒業生の方々)から話を聞いて、自分に照らし合わせて将来を考えることができ、また、職場環境や仕事内容は現場に行ってみないと分からないと実感しました。この経験から、就職活動では50社以上のインターンシップにチャレンジ。実地見聞によって希望に適う金融関係の企業に出会い、内定を得ることができました。
※1 各省庁を訪問し、関学卒業生の現役官僚から仕事内容や実情などについて生の話を聞くプログラム。

学科の特色

 幅広い社会学の領域を6つの専攻分野に整理2年生で選択するゼミによって専攻分野が決定します

1年生から2年生の春学期までに、社会学の基礎を学び、また隣接領域についての入門科目を履修した上で、もっとも自分に合った専攻分野を見極めることができます。2年生秋学期から履修する「研究演習(ゼミ)」のテーマによって、6つの専攻分野から各自の興味に合わせてコースを選択。興味ある分野をより深く専門的に学びます。所属するゼミで、教員や学生同士で討論を重ね、理論的考察力と多角的視野から物事を判断する力、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力を養います。また、4年生で必修となっている卒業論文で専門性の高い研究論文を仕上げます。

 4年間を通じた「少人数」の演習科目で主体的に学ぶ姿勢を身につけ 自身の研究を深めていく

1年生から4年生まで、すべての学年で20名前後の少人数科目が演習形式で開講されています。グループ学習などを通じて議論を深め、学期末には報告会を行います。1年生の基礎演習で学びの基本を修得し、自身の興味を深めたい分野を選択。2年生の春学期はインターミディエイト演習で文献を読み解く力を養います。秋学期からは全員がいずれかのゼミに所属し、教員との双方向の対話を通して主体的に学びを深め、卒業論文執筆に向け研究を進めます。

 現代社会において求められる「調査能力」を身につけデータ分析のプロをめざす

社会学部の特色の一つに、さまざまな分野の「調査」のプロが集まっていることがあげられます。その学びは「計量社会学」「データ分析」「質的調査法」「フィールドワークの技法」「心理調査法」「社会心理学実験」など多岐にわたります。授業を通して、調査票(アンケート)調査、インタビュー、フィールドワーク、心理学実験など、さまざまな調査を計画して実施し、統計を駆使した分析を行うスキルを身につけることで、社会のあらゆる方面で生かせる「調査能力」を育みます。社会調査士や認定心理士(心理調査)の資格も取得可能です。

 先輩からのアドバイスや指摘、グループでの学び合いを活性化する「ピア・エデュケーション」活動

社会学部では、先生が一方的に学生を教えるのではなく、学生同士が学び合う「ピア・エデュケーション」活動を推進しています。授業では「LA(ラーニング・アシスタント)」制度を採用し、後輩が行き詰まったところでアドバイスをしたり、ゼミ選びの経験について話してくれたりします。また「社会学部学生交流プロジェクト(PS)」という学生団体では、学年や出身国・地域を越えた交流を活性化させるために、交流パーティーなどの企画を実施しています。これらの活動には誰でも参加できるため、2年生以降、先輩として後輩の サポートに当たることもできます。

 海外留学やダブルディグリー留学 Sociology in English を通して「グローバルな視点」を獲得

短期の語学留学から、中・長期の留学まで、さまざまな留学制度に加えて、本学とカナダのマウント・アリソン大学の2つの学位を5年間で取得できるダブルディグリー留学を実施しています。社会学部在学中にカナダのマウント・アリソン大学へ2年半の間留学し、正規カリキュラムを履修することで両大学を5年間で卒業する(両大学で「学位」(=degree)を取得する)ことができる制度です。また、海外留学の前後に英語を使った学びを継続できるよう、Sociology in English(英語で社会学を学ぶ授業)を開講。グローバル社会の第一線で活躍する力を養います。

ゼミ紹介


▶紹介するのは… 難波 功士ゼミ

>



難波功士 教授
京都大学卒業後、広告代理店の博報堂に入社。
同社を休職し、東京大学大学院社会学研究科社会学専攻修士課程、
同社会情報研究所(現情報学環)で研究生活を送る。
博報堂に復職した後、
1996年に関西学院大学に奉職。博士(社会学)。

プロジェクトやコンテストなどを通して社会で求められるプレゼン能力を育む

私の研究分野は広告や雑誌などメディアの文化論、若者文化です。論文や著書のほか、新聞社や雑誌社の依頼で評論やエッセイを書くこともあります。
ゼミの学生には自由に卒業研究のテーマを決めてもらっていますが、どのようなテーマでも調査と分析は必要です。その方法を学ぶために、私のゼミでは卒業生に仕事についてのインタビューを行うほか、外資系家電メーカーの知名度を上げる方法を考えるプロジェクトを実施、さらに他大学と競う化粧品メーカーのビジネスプランコンテストにも参加してきました。このコンテストで競う他大学のゼミはマーケティング専攻のため、学生は事前に書籍などでマーケティングの手法について学び、その上で社会調査論など授業を通して学んだことを実践し、当ゼミならではの提案を行います。ゼミでの活動や卒業研究で行う文献・資料の収集、インタビューやアンケートなどの調査で得た情報の分析、プレゼンは、学生が社会で仕事をする際に求められる能力を育むことにつながります。
また、当ゼミでは社会人と話す機会が多いことも特徴の一つです。社会人から刺激を受けた学生が私の想定を超えた考え方ができるようになった時、教育者として喜びを感じています。


▶このゼミの卒業生



博報堂 関西支社
ビジネスデザイン局
ビジネスプロデューサー
衣笠 翠
2014年度
社会学部 社会学科卒業

超個性派集団の中で多様な意見をまとめる力が養われました

難波功士先生のゼミの特徴は多種多様な学生が所属していることです。学部でもトップクラスの成績の学生、体育会所属でスポーツ一筋の学生、芸能活動をしている学生など個性を持ったメンバーが集まっていました。個性派集団ですから、しばしば意見の対立もありましたが、互いの違いを生かすことでより良いアイデアが生まれ、化粧品メーカーのビジネスプランコンテストでは優勝することができました。また、難波先生には、職場訪問や企業とコラボレーションした活動など、学外の人脈づくりの機会もつくっていただき、感謝しています。
現在、私は博報堂に勤務しています。従来広告会社は、広告を受注・制作するのが仕事でしたが、今や広告を含めお客さま自身の課題やお客さまが担う社会課題を解決するプランを提案することが業務になっています。仕事をする上でコピーライター、マーケターなどさまざまな職種の人をまとめていく必要があります。個性的なゼミ生をコーディネートした経験が役立っていると実感しています。