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●物質工学課程
物質科学からエネルギー問題を解決する
物質科学と呼ばれる従来の学科単位では十分に学ぶことのできない広大な学問領域を、「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」の3つのエネルギー観点を切り口に捉え、新しい物質を創成するための基礎から実践までを、物理と化学の両面から分野横断的に学べます。企業や国立研究所出身者などの多彩な教員のもとで、最先端の研究を行うことができます。新しいエネルギー技術に必要な基礎知識と最先端技術を体系的に修得することで、物質科学からエネルギー問題を解決することのできる、自立した研究者・技術者への道が拓かれます。
●電気電子応用工学課程
電力を有効利用し持続可能な社会に貢献する
電気電子応用工学課程は、次世代モビリティーなどで使用される動力機器、情報通信機器、エネルギー輸送・変換機器など、我々の社会・生活で利用している機器の基盤となる「電気エネルギー」の有効利用分野において、世界最先端の研究開発をリードするとともに、この分野を支える次世代の人材を育成しています。これらのことを通して、あらゆる科学技術やイノベーションを用いて変革をもたらすグリーンイノベーションに取り組む、新しいエネルギー社会の構築に貢献しています。
●情報工学課程
AIや感性工学など多彩なITを学ぶ
情報工学課程では、情報通信の発展に貢献するため、コンピュータやネットワークの技術だけでなく、感性やエンターテインメントに関する教育と研究を展開しています。その学びは、基本となる計算機・ソフトウェアや通信の原理・仕組みの修得から、情報の本質とその可能性の探究まで広範です。例えば、コンピュータを用いたスポーツの戦略解析、最適化手法によるアニメの自然なCG作成など本課程の研究は新たな領域を切り拓いています。こうした分野横断的な研究活動を可能とする広角的でかつ創造性を備えた知力を育成します。
●知能・機械工学課程
人工知能と機械工学、未来をつくる技術を創出
知能・機械工学課程では、人工知能と機械工学の両方に必須となる数学的素養を学修し、それを土台として深層学習やベイズ学習といった機械学習や、画像情報処理・生体情報処理といった人工知能関連の専門知識、また、機械系力学や制御工学・ロボティクス・メカトロニクスなどの機械工学に関する専門知識を育みます。さらに、それらを進化させる研究能力や技術力、人工知能と機械工学を融合し高度化した知的ロボットやVRインテリジェンス・知的インタフェースなど、幅広い知識と深い思考力を身につけます。
●基本DATA
学生数 834名 募集人員 265名 専任教員数 46名
●取得可能な資格
[課程共通]・学校図書館司書教諭 ・国際バカロレア教員認定証(DP)
[物質工学課程/電気電子応用工学課程]・中学校教諭一種免許状 理科 ・高等学校教諭一種免許状 理科
[情報工学課程/知能・機械工学課程]・中学校教諭一種免許状 数学 ・高等学校教諭一種免許状 数学
[情報工学課程]・高等学校教諭一種免許状 情報
栃下 藤之さん
情報工学課程3年
京都・京都女子高校出身
■学部の学び
ICTと芸術の融合するシステムの開発に挑む
私はICT(情報通信技術)と芸術の融合を学びたいと思い工学部情報工学課程に入学しました。本課程では3年生に2つのゼミを体験します。私は春学期に感性工学を学ぶ長田典子先生の研究室で、機械学習に関する基礎知識と人間の感性を生み出す「脳」についての学習に取り組みました。秋学期には数理工学を用いて課題を解決する巳波弘佳先生の研究室に所属し、自動採譜の研究に取り組みました。琴の音源を使用して音源から自動的に譜面を起こすとともに、奏者がミスをしても音楽理論に従って自動的に修正したり、ジャズなどアレンジの幅が広いジャンルで聴き心地のよいメロディの譜面にしたりするシステムの開発をめざしています。
■もう一つの学び
AIのデータ構造の学修が研究活動の基盤に
研究活動のベースになっている授業は1年生から履修している「AI活用人材育成プログラム」です。入学直後にAIの基本事項を体系的に学び、その全体像を理解できただけでなく、大学での学び方を身につけることができました。また、2年生の秋学期に履修した「データ構造とアルゴリズム」の授業では、プログラムを書く上で必要な技術とともに、評価の基準を知ることができました。これらは現在、プログラムを書く上で何に注意をしたら良いかという指標になっています。将来的には自らの研究を生かし、ITを用いた舞台美術の仕事をしていきたいと考えています。
蓄電
発電施設や電気自動車 用途ごとに最適な高性能蓄電材料を開発
原子力発電や火力発電から再生可能エネルギーへ進めるには大容量電力貯蔵を可能にする技術(材料)が必要不可欠ですが、未だ確立されているとは言い難い状況です。また、スマートフォンから電気自動車まで小型の蓄電デバイスは我々の生活に不可欠なものになっており、今後いっそうの需要拡大が見込まれます。研究室では、これらの課題に対応するため、多様な物質群を対象に、各用途に最適な高性能蓄電材料の開発研究を進めています。
ナノ蓄電エネルギー材料科学研究室 吉川浩史 教授
半導体
未来社会に求められる高機能かつ高性能な革新的デバイスの創出
情報通信技術や電力制御を司る半導体デバイスは、スマートフォンやPC、自動車、電気機器をはじめ、現代社会を牽引するIoTやAI、ロボットなどを支える基盤装置として重要性を増しています。当研究室では、金属と酸化膜、酸化膜と半導体といった異種材料間の境界である「界面」を中心に、多様な材料・プロセス・技術を駆使して未知の物性の解明・発現に取り組み、従来にない革新的性能・機能をもつ半導体デバイスの創出をめざしています。
半導体デバイス工学研究室 細井卓治 准教授
データマイニング
データマイニングで大量のデータから有用な知見を検出
多様で大量の情報が生成、流通、蓄積される情報化社会にあって、その膨大なデータの山の中からいかにして必要な情報を取り出すかが大きな課題となっています。研究室では、この問題を解決するために、データマイニングの研究を進めています。これは、収集・蓄積されたデータをAIによって分析し、ルールやパターンを見いだして有用な知識を見つけ出す技術です。データマイニングによって得られた知見はマーケティングなどに役立てられます。
データ工学研究室 猪口明博 教授
バーチャルリアリティ
見て、触って、嗅いでリアルに体感できるVR世界の構築が目標
VR技術は、医療や防災、通信などさまざまな分野での応用が期待されています。例えば、手術前に医師が患者の手術のリハーサルをバーチャルに行えたり、遠隔地にいる人と臨場感をともなった会話ができたり。本研究室では、さまざまな分野の技術を統合し、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感でリアルに体感できるVR世界の構築と、ユーザーがまるで実世界にいるような感覚を味わえる装置「五感ディスプレイ」の開発をめざして研究を進めています。
バーチャルリアリティ学研究室 井村誠孝 教授
▶紹介するのは…工学部 電気電子応用工学課程 大屋 正義研究室
大屋 正義 准教授
京都大学エネルギー科学研究科博士課程修了。
博士(エネルギー科学)。
民間企業で高温超電導ケーブル、
高温超電導マグネットの研究開発に従事。
現在は液体水素の冷熱を活用した
超省エネ超電導機器の開発に取り組む。
液体水素と超電導を掛け合わせた超省エネルギー発電システムを開発
海外の大規模な風力や太陽光発電システムでつくった電気をそのまま輸入することは技術的に困難なため、余剰電力で液体水素をつくってタンカーで輸入して貯蔵し、必要に応じて水素発電することが考えられています。しかし、液体水素をつくるにはマイナス253℃まで冷やす必要があり大きなコストが掛かります。一方、私が専門とする超電導コイルは電気抵抗をなくすために超低温に保持する必要があり、冷却装置の初期費用やその運転費用が多額になることが課題でした。そこで私は発電機のコイルを超電導化して液体水素によって冷やし、外からの侵入熱によって気化した水素を燃やし、発生した蒸気でガスタービンを回して発電するシステムの開発をはじめました。発電機を超電導化することで発電効率が向上するだけでなく、液体水素の冷熱を有効活用することで液化コストを回収し、将来の水素社会の構築に貢献します。この研究は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受け、企業や他大学などと共同で進めており、ゼミの学生も実用化に向けた研究をしています。また、実際に液体水素を使った実験も宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して実施。2050年カーボンニュートラルの達成に貢献できるのが当研究室の魅力であると考えています。
三菱重工業株式会社 総合研究所
パワーエレクトロニクス研究部
パワーエレクトロニクス第一研究室
淀 美香子
2019年度 理工学部 先進ナノエネルギー工学科※卒業
2021年度 理工学研究科 博士課程前期課程修了
※2021年4月より理系4学部開設。
この学部学科名はそれ以前のものです。
S i C 結晶の欠陥メカニズムの解明に挑み、国際学会での発表と論文掲載を実現
環境やエネルギー問題に興味があった私は、授業で半導体材料からエネルギー問題にアプローチできることを知り、パワー半導体の材料であるSiC(シリコンカーバイド)の結晶欠陥を研究する大谷昇先生の研究室に入りました。省エネルギーに貢献するSiC半導体ですが、SiC結晶に欠陥が多いため、価格が高くなりがちです。私はある結晶成長方法で欠陥が起きるメカニズムの解明に取り組み、その手がかりを発見。この成果によってフランスで行われた国際学会にポスター発表で招待されたほか、修士2年生の時に書いた論文(共著)が国際ジャーナルに掲載されました。現在は三菱重工業でSiC半導体を用いた製品の実用実験に携わっています。
大学で思うような研究結果が出なかった時、大谷先生から「もっと実験結果を観察すれば、どこに問題があって、次に何をすべきかが分かる」と言われたことを今も守っています。自動車や電車、空調機など多様な製品に使用されるSiC半導体が、より多くの製品に使われるように研究を進めたいと考えています。