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日本語もフランス語なまり、研究者の本望
文学部小田涼 教授【後編】
第2外国語だったフランス語、気づけば学究の徒に
もともとは文学が好きで、大学では日本文学を研究しようと思っていました。日本語学や言語学の授業を受けているうちに言葉の研究が面白くなってきて、第2外国語に選択したフランス語の勉強も楽しかったので、フランス語学を研究することにしました。博士論文をもとに書いた『認知と指示 定冠詞の意味論』で、渋沢・クローデル賞(※1)を受賞したときは本当に驚きました。文学や芸術、社会学の研究に贈られることがほとんどで、理論的な言語学の分野では初めての受賞でしたから。通知が来たときも、はじめはスパムメールではないかと思ったぐらいです(笑)。本当に励まされ、「初心忘るべからず」という気持ちで、受賞盾を研究室に飾っています。※1 日仏両国において、それぞれ相手国の文化に関してなされたすぐれた研究成果に対して贈られる学術賞。
「もしかして外国に住んでおられましたか」
大学の1・2回生の頃は、フランス語の先生に「あなたのフランス語は英語なまりですね」と言われていました。それが3・4回生になると、英語の先生に「あなたの英語はフランス語なまりですよ」と言われるようになり、少し前にイタリア語の学校に通っていたときには、イタリア人の先生に「なんだかフランス語っぽいイタリア語だね」と言われました。揚げ句の果てには、日本のあるお店で「もしかして外国に住んでおられましたか。シの発音が外国語っぽい発音ですよね」と言われてしまいました。どうやら今では、日本語すらフランス語なまりになってきているようです。悲しむべきか、フランス語の研究者としては本望と言うべきか(笑)。初夏にはバラの花、心落ち着く文学部の中庭
日本建築学会賞(※2)受賞のキャンパスはどこも美しく、なかでも私が気に入っているのは文学部の中庭です。初夏にバラが咲いて、すごくきれいなんですよ。近くで授業があるときには必ずそこを通ります。私にとってとても落ち着ける場所です。晴れやかで、自由に研究できる雰囲気がある関学は、学生も明るいですね。スクール・モットーが「Mastery for Service(奉仕のための練達)」だけあって、ボランティア活動に参加している学生もとても多いように感じます。「社会の役に立ちたい、誰かを助けたい」と思う気持ちは、とても大切だと思います。関学では全学部の学生向けに日本手話の講座も開講されていて、私も1年前から勉強しているんです。※2 関西学院西宮上ケ原キャンパスは、1929年の創建以来の設計思想を継承しながら、現在の大学に求められる施設の機能向上を的確に行ったことが評価され、2017年に一般社団法人日本建築学会より日本建築学会賞(業績)を受賞しました。