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企業活動と証券市場を適正化する法制度を研究
法学部石田眞得 教授【前編】
情報開示(ディスクロージャー)とその関連法制を研究
私の専門は企業の情報開示(ディスクロージャー)とそれに関わる法制(金融商品取引法、会社法)です。ディスクロージャーとは適正な情報開示を行うこと。あなたが投資家で、ある会社に投資(株式を購入)しようとした場合、どうしますか。できるだけ損をしたくないから、その会社が投資する先にふさわしいかどうかを調べるはずです。投資を受ける側の企業は、自社の事業内容や経営状態のことはよく知っていますが、ディスクロージャーがなければ、投資家は、「投資をするかどうか」を判断するために必要な情報を入手することができません。この状態は「情報格差」「情報の非対称性」と呼ばれています。ディスクロージャーとは適切に情報を公開することで、情報格差や情報の非対称性を解消するものです。
適正な情報開示とは何か。アメリカの状況を見ながら研究
情報の格差や情報の非対称性があることはなぜいけないのでしょうか。もし、企業が自分に都合のよい情報だけを公開して、都合が悪い情報を隠して投資を募ったらどうなるでしょう。都合の悪い情報が、株価に影響を与えたり、倒産につながったりするレベルのものであれば、投資家は想定外の大きな損害を被ります。これでは投資家に自己責任を求める前提を欠くことになります。また、都合が悪い情報を隠した企業に資金が流れてしまい、本来投資を得られるはずの企業に投資家からのお金が回らないということも考えられます。難しい表現になりますが、投資家の限りある資金が企業に対して効率的に配分されないことになるのです。情報開示といっても、ただ情報を開示すればよいというわけではなく、大事なのは、真実の情報を正確に、適時に(タイムリーに)分かりやすく開示することです。私は情報開示の適正性をいかに確保するのか、投資家が損害を被った場合にどのような救済が与えられるべきかを、アメリカの状況を参考にしながら研究しています。