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父は中小企業の経営者、働く背中を見て育つ

商学部山口隆之 教授【後編】

研究一筋の私に「いつ継いでくれるんや」

 父が中小企業、イメージ的には小さな町工場の経営者だったので、ずっと働く背中を見て育ち、いつか自分が後を継ぐのだろうなと考えていました。就職してから大学院に入り直したのも、一度きちんと経営について学んでおこうと思ったからです。修士で終えるつもりだったのに、そのまま博士課程へ進学し、いろいろなご縁や支えもあって教員として就職することになりました。フランスに留学した際、世界的にも知られた学者たちが人生を掛けて研究に打ち込み、熱弁している姿を目の当たりにして、まだまだ自分には勉強が必要だと痛感し、今に至っています。教授になってから中小企業の経営者と交友する機会や講演をする機会が増え、後継者になるよりも大きな形で、中小企業を支えることができているのかもしれないと感じるようになりました。父からはいまだに、「いつ継いでくれるんや」と言われますけどね(笑)。

「研究者として孤独と自由を愛しなさい」と恩師

 「フランスの中小企業」というテーマで継続的に研究しているのは私だけなので、例えば、学会では、何を言ってもいろんな人が興味を持って聞いてくれますし、それが自分の次のモチベーションにもなっています。もちろん、周辺情報がないので何でも一から一人で積み上げていかなければならない苦労はあり、その点、孤独を感じることもあります。でも、誰よりも先に行ける、誰も見ていないものを見られるという点では自由です。院生の頃、恩師から、「研究者として孤独と自由を愛しなさい」という言葉を教わりました。「あんたに大事な言葉やから知っときや」と。当時はぴんと来ませんでしたが、今になって、良い言葉をいただいたなと感謝しています。

美しい上ケ原キャンパスに癒やされて

 写真が好きな私にとって、上ケ原キャンパスは絵になるところが多いんです。特に気に入っているのは商学部の前にある新月池。四季折々に表情を変え、光の当たり方一つでも感動させられることが多々あります。私にとってはモネが描く池と一緒で、そばを通るとき、「カメラを持ってきたら良かった」と残念に思うこともしばしば。春に桜が満開になった日本庭園も見事です。入学式の前後で人がいないことが多いんですけどね。どうしても上から写真を撮りたくて、管理人さんに頼んで教室の鍵を開けてもらったこともあります(笑)。結構マメにキャンパス内の写真を撮っているので、商学部の学生雑誌の表紙を3号連続で飾ったこともあるんですよ。

バイクと一眼レフ、ずっとマイブーム

 関西弁で言う「いっちょかみ」で、いろいろやってみたくなる性分。常に5つぐらいのマイブームを繰り返しています。その中で、写真とバイクはコンスタントに続いています。バイクは250CCと800CCの2台を持っていて、スピードを出すよりのんびり走るのが好きですね。時間が出来れば田園風景を眺めながらツーリングし、愛用の一眼レフでの撮影と一緒に楽しんでいます。先日、能登半島まで明け方から日没にかけて一般道だけを走ってきました。中小企業研究の方も、そろそろ次の本の用意を考えないといけません。メジャーではないけれど、自分の中で社会的な意義が大きいと思えることに取り組みたいと思っています。ひねくれ者なんですよ(笑)。

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