「小よく大を制す」スポーツ科学で解明したい
9歳から柔道を始め、将来は柔道で食べていこうと思っていました。日本体育大学の柔道部時代は身長約1・8㍍、体重約100㌔。実業団から誘われ、そこそこ自信がありました。4年の時、後にバルセロナ五輪で金メダルをとる古賀稔彦さんが入部してきました。既に五輪候補に選ばれていたとはいえ、第一印象は「小柄だな」。なめてかかり、乱取りでいきなり投げたところ、怒りましてね。5分間ひたすら攻め込まれ、最後は思い切り畳にたたきつけられました。「こういうやつが柔道で飯食うんだな」と、心が折れましたよ。同時に、大きくて筋力もある人間が小さな相手に組み負ける理由を知りたくて、石井喜八先生の下でスポーツ科学を学ぶことにしたのです。