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死に直面して、人生が変わった
人間福祉学部藤井美和 教授【後編】
記者としての充実した日々が、あるとき一変
学生時代は刑法を学び、法曹の道を志望していましたが、経済学の授業をいくつかとっていくうちに考えが変わりました。弁護士などの仕事は起こったことに対処することが主な役割ですが、経済はリアルタイムの動きが求められる、そこを魅力的に感じ、卒業後は新聞記者を目指しました。就職して5年目、働く女性に向けた新聞の創刊号に、副編集長として関わることができました。毎晩、終電にも乗れないくらい忙しい日々を送っていましたが、充実した毎日でした。ところが仕事中、突然頭痛としびれが始まり、3日間で全身マヒになり、救急病棟に運ばれました。28歳のときでした。指1本動かせない中で、「今晩だけは頑張りなさい」と主治医から告げられました。
死に直面して人生を振り返ったことが大きな転機に
私は数万人に一人という難病にかかったのですが、なんとか一命を取りとめることができました。死に直面したとき、「私は何のために生きてきたのだろう」という思いが湧き上がってきました。一生懸命していた仕事は、私の人生の最期を支えてくれるものではありませんでした。また、「私は人のために何かしてきたのだろうか」という思いも。仕事ばかりで、自分を支えてくれた家族に対して何もできていなかったことにも気づきました。その後2年半ほどリハビリを続け、なんとか自分で歩けるところまで回復しました。当たり前のことが当たり前にできる喜びを感じながらも、これから自分はどうやって生きていこうかと絶えず考え、仕事をやめて別の生き方をしようと決心したのでした。