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「同族と非同族」比較研究で探る企業統治
国際学部児島幸治 教授【前編】
会計学の視点から企業の「強み・弱み」実証分析
私の専門は、財務会計と企業分析です。はじめのうちは、企業が出す会計情報が株式市場にどのようなインパクトを及ぼすのかを数量的に分析していました。その後、企業統治のあり方が業績にどう影響するのかも分析するようになりました。中でも力を入れているのが同族企業と非同族企業の比較研究です。負のイメージを持たれがちな同族企業にも業績が良いところはあります。そこにはどんな企業統治体制があるのか、同族の強みや弱みと合わせて研究しています。最近はイノベーション(技術革新)、起業の分野にも関心があり、神戸大、徳島大、同志社大の先生方と、大学発のイノベーションはどのように起こすことができるかを共同研究しています。
英語も会計もできる希少な公認会計士が巣立つ
指導も卒論も英語で行うゼミなので、卒業生の半数以上が留学生です。欧米、アフリカ、アジア、北米と出身国は様々で、国際問題に関心を持つ学生が多いのが特徴。少人数ゼミなので、私の専門にこだわらず、ゼミ生が本当に関心のあることは何か、会話のキャッチボールを通じてテーマを見つけてもらっています。私の専門とする会計学に関心を持ち、在学中に公認会計士試験に合格した卒業生は、英語も会計もできる希少な人材として、大手監査法人で活躍中です。技術革新が進んでいるとはいえ、専門的な判断を多く必要とする公認会計士の仕事を人工知能(AI)に任せることは当分無理でしょう。専門的な判断を下す機会の多い魅力的な仕事なので、興味を持ってもらえると、やはりうれしいですね。
実社会に意味あるフィードバックをもたらす使命
会計の研究者として、実社会に意味のあるフィードバックをもたらすことが務めだと考えています。企業の業績向上のためにはどんな企業統治体制が望ましいのか、イノベーションを起こすにはどのような要素や内部統治体制、バックアップが必要なのか、を研究で明らかにしていきたいと考えています。他大学の先生方との共同研究は、大学の「知の集積」をどう商品化するかがテーマです。有能な人材が、みんな東京に行ってしまうのは寂しい話です。シリコンバレーとは言いませんが、ワイワイやりながら役に立つサービス・製品を開発していくことに携わり、それによって地盤沈下が指摘される関西を盛り上げていければと思っています。自分が「外国人」として扱われる経験にチャレンジを
国際学部には様々なバックボーンを持つ留学生がいます。一緒に勉強し、考え方や価値観の違いに触れることは、人間としての器を大きくしてくれます。日本人学生に必須の海外留学※も素晴らしい財産になるでしょう。自分が「外国人」として扱われる経験をすれば、外国人が日本で日本語を使って生きていくのがどれだけ大変か分かります。頭だけでなく、ハートで多様性を理解できる環境が、国際学部にはあります。もう一つ強調したいのは、学生の間にいろんなことにチャレンジしてほしいということ。恥をかこうが失敗しようが、何もやらないよりずっといい。どんどん挑戦し、たとえ難しくても楽しみながら取り組めるものを見つけてほしいと願っています。
(※)国際学部では在学中に、短期留学(約1ヶ月)、中期留学(約3~7ヶ月)、長期留学(約6ヶ月~1年)や、海外インターンシップ、国際ボランティア、ダブルディグリー留学制度などのいずれかのプログラムに参加し、所定の単位を修得することが卒業の条件となっています。健康上の理由等で留学をせずに卒業することは可能ですが、あくまで例外としています。