What We Want Students to Learn

商学部土方嘉徳 教授【前編】

ようこそ、新時代のマーケティングへ

SNSユーザーの行動・心理に基づいたマーケティングを研究

 Twitterやインスタグラム、フェイスブックといったSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)はすっかり身近なものになり、皆さんも日常的に使っているのではないかと思います。私の研究テーマはSNSの利用者(ユーザー)の行動や心理をモデル化し、それを用いて「One to Oneマーケティング」の手法を確立することです。マーケティングは商品が売れて、儲かり続ける仕組みのことですが、従来のマーケティングが不特定多数の消費者を対象にしていたのに対し、One to Oneマーケティングは、消費者一人ひとりのニーズや購買履歴などに合わせて個別に展開します。分かりやすい例を挙げると、ショッピングサイトで見られる「あなたへのおすすめ」(レコメンデーション)や、SNSのタイムラインで見られるターゲット広告などです。これらは、人によって表示される内容が異なることが分かります。

ユーザーの行動を可視化し、購入・検索履歴と組み合わせる

 SNSのユーザーは、Web上で「自分を他人にどう見せるか」、つまりセルフブランディングを行っています。「いいね」をもらえる写真や記事を掲載するのはその表れですが、一方で意識的あるいは無意識的に「自分のことをどこまで開示するのか」を選択しています。「自分をよく見せたい」心理と、「名前や住所などは隠したい」という匿名性意識。これらが影響してユーザーの行動は決まります。この行動を、AIやデータサイエンスの手法でわかりやすく可視化することが、「ユーザーのモデル化」です。モデル化された行動と、過去に何をネット通販で購入したか、何を検索したかなど、さまざまな情報を組み合わせると、企業はユーザー一人ひとりに合った商品やサービスの提案をすることができます。それがOne to Oneマーケティングです。

日本でも珍しいSNS時代のマーケティング研究

 研究はTwitterなどでのユーザーの行動をコンピューターで自動的に収集して分析するという手法で行います。SNSに関連する研究をする以上、情報技術の基本的な知識を事前に熟知しておくことは欠かせません。また、SNSユーザーはどのような人たちなのか、どのような心理なのかも理解する必要があります。発信する人が芸能人やプロスポーツ選手など著名人なのか、一般人なのかでも、「ユーザー」の行動は変わってきます。従来のマーケティングは、テレビやラジオ、新聞などのマスメディアを活用してきました。その流れは今後も続きますが、それとは別に新たに生まれたのがSNSを用いたマーケティング。この分野の研究を行う私のゼミは、日本ではまだ珍しい存在と言えるでしょう。

学術上価値のある研究に取り組み学部生が学会で発表する

 新しい分野だけに、学生の皆さんと私のような研究者が選ぶテーマに大きな差はなく、学生が選んだテーマが国からの研究支援の対象になることもあります。具体的なテーマは、「メインアカウントとサブアカウントにおける人格の違い」「インスタグラマーのモチベーション」「SNSのレコメンデーションに対するユーザーが感じる信頼性」など。研究を行ううえでWebの基本知識が欠かせないことから、まずプログラム言語のPythonの修得からスタート。その後、学生と一緒にOne to Oneマーケティングの基礎になり、なおかつ学術的にも価値がありそうな課題を考えて、テーマを決め、研究を進めます。また、在学中に1回は学会で発表してもらいます。中には、高い成果を上げ、国際学会で発表する者もいますよ。研究成果を世の中に発信することは、学生本人の自信になると考えています。