Programs at Each Schools 学部プログラム

2019.11.21

歴史から経済や政治、教育へと学びが広がる

文学部 3年生岡田航平さん

日本史学史料研究D:本授業の目的は、近現代史料を的確に解釈し、歴史イメージを構築することができるようになることです。今回の授業では『木戸幸一日記』下巻をテキストとし、その内容(何が書かれており、それが何を意味するか)を正確に理解し、先行研究や関連史料を参照しつつ、アジア・太平洋戦争末期の日本の政治状況を理解することを目指します。 文学部 開講科目。

話をする岡田さん

近現代史の中で戦争に至る経緯に関心

日本史学史料研究は古代、中世、近世、近現代と時代ごとに分かれており、Dは近現代の研究です。昔から歴史に関心があり、特に日本史の中でも戦争に至るまでのことについて勉強したいと思って文学部に入ったので、2年生の春学期から継続して履修しています。日本史学史料研究は文学部日本史学専修の必修科目で、それぞれの時代の専門家の先生方から学べるのはいい機会です。中世や近世も受講しましたが、やはり興味のある近現代が一番面白いと思っています。

戦時中の政治家の日記を読み解く

今取り組んでいるのは、「木戸幸一日記」です。太平洋戦争末期に天皇に一番近いポジションにいた政治家の日記に関して、○月○日から○日までは誰の担当と各自割り振られ、その内容から時代背景や言葉の意味、人物のつながりなどを調べ、深めて発表するというものです。日記には、例えば「何時に“誰々”と面会した」としか書いてありません。でも、相手の役職や当時の仕事内容、二人の関係性や時代背景から考えて、多分こういう話をしたのだろうと読み解いていきます。“誰々”といってもほとんど無名の人物なので、名字から誰の子孫かを推測して裏付け資料を探すといったことをします。ストレートに答えは出ないけれど、調べていけば出てくるというのが難しさであり、面白さだと思います。

調べたピースがパズルのようにつながる

私が担当したのは昭和20年1月1日から6日までで、その中から5項目について調べて発表しました。一つ例を挙げると、「朝鮮人処遇問題について話し合いをした」という一文です。国会図書館の昭和20年の閣議データから引っ張ってきて、朝鮮人処遇問題とは何だったのか、また背景にあった日本の政策や韓国併合してからの動きなどを説明し、話し合いの内容に言及しました。締めくくりには、昭和20年1月4日に出した小磯総理の声明を報じる翌5日の朝日新聞において、東京版と大阪版の記事の見出しを比較し、違いの理由を考察しました。近現代史はいろいろな要素で構成されています。(古代なら日本書紀を読めばOKですが、)近現代史には資料がたくさんあり、歴史から他の分野へと学びが広がり、何でも学問の範囲になります。経済からも、政治制度からも、大衆心理からも考えられ、それらのピースがパズルのようにつながっていきます。それがこの授業の面白いところで、つながりを見つける楽しさに気付けました。

卒論では歴史と教育を絡めて研究したい

私は将来、教育関係の仕事に就くことを希望しており、卒論は教育と歴史を絡めたテーマで書きたいと考えています。具体的には、海軍兵学校と旧帝国大学で行われていたエリート教育についてです。教育に携わるに当たって問題意識として幾つか持っており、その一つが日本人は自分の国について海外の人以上に知らない、政策について意見を持って話せないということです。過去には、自分の意思をしっかりと持てる人を育てる教育機関があり、海軍兵学校と旧帝国大学もそうであったと思います。軍人と文人、育てる人材は正反対ですが、双方を比較して研究してみたいと思っています。

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